「僕はそろそろ帰るよ」 立ち上がり、奏ちゃんはコートを羽織ると荷物を手にして私を振り返る。 それから、瞳を柔らかく細めると。 「メリークリスマス、小春」 告げて、静かに扉を閉めた。 「……メリークリスマス。ありがとう、奏ちゃん」 降り続けていた冷たい雪はもう やんでいた。