「そ、それは俗に言う、オネエという方では……」
「そうとも言う。シルバー作ってるけど、本人は最近ゴールドとったばっかりっていうね」
「ゴールド?」
「ナイスピュア。いいんだ、こっちの話し。小春はそのままでいてくれ」
「ええっ? ちょっと気になるんだけど」
「いいんだって。知らなくても生きていけるから」
生きていけるとしても、気になるんですけど!
むしろ気になってストレス溜まって不調になるかもしれない。
なんて訴えてみたけど、リクは教えてくれず。
そんな感じで、知りたい、教えないの攻防を繰り返していたその時──
「なんだか賑やかね~」
午後の検温にやってきた看護士の瀬戸さんがクスクスと笑いながら入ってきた。
「す、すみません。うるさくして」
謝ると、瀬戸さんは今のくらいだったら大丈夫だと教えてくれて、私に体温計を差し出した。
それを受け取ってワキに挟むと、リクがペコリとお辞儀して瀬戸さんに「こんにちは」と挨拶する。
瀬戸さんは「こんにちは」と返すと、すぐに私に視線を移して。
「うるさくするのはダメだけど、元気な声が聞こえるのはとてもいい事よ。病は気から。いっぱい元気をもらって早く退院しましょ」
確かに、リクとこうして話をしてると体のだるさなんて気にしていない自分がいるのに気付く。



