桜涙 ~キミとの約束~



「リ、リクのはまた今度でもいいよ」


むしろクリスマスイヴなんて日に百瀬さんとの事を報告されたら、今夜サンタさんに願うのは"時間を戻してください"とか不可能な事ばかりになってしまう。

でも……リクは納得しなかった。


『今日する。じゃないと、頑張った意味がなくなる気がするんだ』


真剣味を帯びたリクの声。


『とにかく、どこ?』


問われて、私は口をつぐんだ。


頑張ったって、何をだろう?

百瀬さんとの事?

だとしたら、やっぱり聞くのは辛いよ。


……でも。

リクがちゃんと報告したいと思ってくれているのなら……


逃げてばかりじゃ……いけないよね。


リクから向けられる言葉がどんなに辛くても、悲しいものでも。

例え、涙を流してしまったとしても。


幸せを掴んだ彼に、お祝いの言葉を伝えよう。