ドンッ、と肩がぶつかる。


「ごめんなさいっ」


慌てて謝ると、スーツを着たおじさん一瞬だけ足を止めた。

けれど、急いでいるのか、無言で私を一瞥すると歩き去ってしまう。


クリスマスイヴという日の効果で、いつもより人の多い地元の駅前。

その中を、歩きながら携帯を見ていた私は、当然の如く人にぶつかってしまった。

というより、ぶつかってしまい危ないという事を失念していたくらい、携帯を手にしてディスプレイ画面の確認ばかりしていた。

私は、またぶつからないようにと道の端に寄る。


リクから折り返しの電話はまだない。

一応メールもしておいたけど、その返信もないままだ。