桜涙 ~キミとの約束~



「──リク、が?」


問えば、奏ちゃんが小さく頷く。


「僕が小春に嘘をついてしまった日、陸斗から電話がきて言われたんだ。『なんで嘘をついたの』って。なんで陸斗は僕が嘘をついたとわかると思う?」


白い息を吐きながら、私に答えを求める奏ちゃん。


嘘だとわかるのは、そうだとわかる何かを知っているからだ。

本当に奏ちゃんなのかと尋ねるなら、疑うという行為。

でも、リクは嘘だと断定して奏ちゃんに言った。


「本当に、リクが……?」


そう声にした途端、ふいに思い出した。