「実はさ、奏チャンから逃げた先にチャリに乗った友達がいて、そいつの後ろに乗っけてもらって家に帰って、着替えてからまたここまで乗っけてもらったんだ」

「オレ、頑張った」と自分を褒めたリクに、私はなるほどと納得した。

早くここに辿りついた真相も納得なんだけど、わざわざ私服で来たリクの思惑にも納得だった。

つまりリクは私服になる事によってプライベートモードをアピールし、奏ちゃんに文句言われないようにしてきたと言う事。

もちろんそれに奏ちゃんも気付いたらしく、溜め息を吐いて呆れたように肩を落とした。


「まったく……まあいいや。僕の部屋へ行こう」

「やったね。おじゃましまーす」


奏ちゃんを先頭に上機嫌のリクが玄関に入る。

私は奏ちゃんに同情し、リクの悪知恵にある意味尊敬しながら「お邪魔します」と告げて玄関へと足を踏み入れた。