──ふわり。

冷たく柔らかい風に乗って舞い降りたソレが、奏ちゃんの手を握っている私の手に落ちて溶ける。

ふり仰げば、鈍色の空から白い雪の花が舞い降りてきていた。

奏ちゃんも空を見上げ「降り始めたね」と口にする。

そして、ゆっくりと手を離すと、さっきよりも柔らかくなった表情で私を見た。


「よろしく……とは言ったものの、すぐに今までと同じようにはできないと思う」


ごめんな、と続けて謝る奏ちゃんに、私は首を縦に振る。

奏ちゃんの紡いだ言葉は寂しいものだけど、それは当然のものだった。

関係をやり直す──と言っても、そんな簡単に切り替えられるものじゃない。

声にし、気持ちを教えてもらえても、積み重なったわだかまりがすぐに解けるとも思っていない。

時間はかかってしまうだろう。

それでも、また笑い合えるなら。


「いいよ。奏ちゃんのペースで」


伝えると、奏ちゃんの瞳がメガネの奥で微笑む。


「見つめ直すよ。小春のくれた言葉と、陸斗と築いてきた関係を信じて」


三人が共に過ごしてきた時間を、思いを、絆を、未来にむけて、また結びなおそう。