リクは私たちの姿に気がつくと、右手を上げて大きく振る。
「おっかえり~」
私はリクに走り寄ると、真っ先に質問する。
「何でリクがここにいるの? 逃げたからてっきりお菓子は諦めたのかと思ってた」
「奏チャンパパのおいしーお菓子を簡単に諦めるはずないって」
リクは奏ちゃんのお父さんが作るお菓子の大ファンだ。
今ではバイト代が入るたびに、自分へのご褒美と言って買っているくらいに好きみたいで。
だから諦めなかったのは納得のいく事だった。
でも、納得いかないのは時間。
それは奏ちゃんも同じだったようで、リクに問いかけた。
「一旦家に帰ったにしては早い気がするけど」
奏ちゃんの質問に、リクは「あー、それね」と言った。