「そろそろ到着?」


奏ちゃんに尋ねられて私は頷く。


「うん。ここから少し歩けば着くみたい」

「そうか」


短く言って景色を見渡した奏ちゃん。

私は「こっちだよ」と声をかけ、奏ちゃんと並んでお店の並ぶ商店街へと入っていった。


八百屋さんの前を通ると、店員さんとビニール袋を腕から下げた買い物客であろうおばさんが立ち話をしている。

その隣りに建つ化粧品屋さんでも、同じような光景があって。


「ゆったりとしてて、いい街だね」


奏ちゃんの声に、私は微笑んで頷いた。

丁度、同じことを感じていたから。


賑わっているわけではないけれど、街に漂う空気は和やかで、どことなく温かい。

そんなのんびりとした雰囲気の中、私は奏ちゃんと目的地を目指し足を進めた。


そっと、隣を歩く奏ちゃんを盗み見る。