12月24日。

──クリスマスイヴ。


曇り空というあいにくの天候の中、私は奏ちゃんと一緒に隣りの県に来ていた。

お昼過ぎから電車に揺られて一時間半。

閑散とした木造の小さな駅舎に降り立った私は、ひんやりとした風を受けながらあたりを見回した。


冬という季節柄の為に枯れ木もまじってはいるけど、駅のまわりには木々が立ち並び自然が多い印象だ。

高い建物はなく、駅前から伸びた道には小さな商店街が見える。


私は鞄に手を入れ、折りたたまれた小さな紙を取り出した。

広げると、お母さんが書いてくれた地図が目に飛び込んでくる。

どうやら、商店街を抜けた先に目的地となる場所があるようだ。