久しぶりに行ってみようかな、なんて考え始めた頃、奏ちゃんの家が見えてきた。

赤い屋根が印象的で、お洒落な格子のバルコニーがある、大きな三階建ての家。

一階がケーキ屋さんになっていて、今は奏ちゃんのお父さんやスタッフさんが働いているだろう。


「奏ちゃんの家に来るのって、いつぶりだっけ?」


私がなんとなく問いかけて、奏ちゃんが「去年のクリスマス以来じゃないかな」と答えた時だった。


「あそこに立ってるの、陸斗だよな?」


奏ちゃんが言って指差したのは、ケーキ屋さんの入口横。

そこには確かにリクの姿があった。

しかも、プリントTシャツにパーカーを羽織り、ほどよいダメージの入ったデニムパンツを履いてる私服姿のリクが。