桜涙 ~キミとの約束~



「お、おはよう」


新谷はリクにも気づいたらしく「おー、本庄クンじゃん。オハー」とリクにも挨拶する。

同じように「オハー」と言葉を返して挨拶したリク。

新谷はそんなリクを見て「あ」と声を発した。


「本庄クンといえば、百瀬ちゃん。最近一緒にいるよな」


触れたくても怖くて触れられなかった話題。

それを、新谷はいとも簡単にリクに投げかけた。

私の心臓がキュッと縮まったような苦しさを覚えた刹那──


「うん。ちょっとね。色々とありまして」


否定せず、リクはニッコリと笑った。

どこか少し……幸せそうに。


「色々かー。俺も美乃ちゃんと色々してぇ~」


羨む声を発しながら教室に入っていく新谷。

私は……


ショックで、動けなかった。