「奏、ちゃん?」


奏ちゃんの後ろに並ぶ窓と夜の景色に、自分が教室のドアを背に押し付けられているのだと理解する。

形のいい奏ちゃんの唇が、冷たく動いて。


「陸斗と、何を話していたの?」

「何って……」

「陸斗と見つめ合って、何を想ってた?」


奏ちゃんの言葉に、見られていたのだと知った。

私がどう答えていいかわからずに、答えあぐねていると……


「嫉妬が凶器になるなら、僕はもう幾度も陸斗を殺めてるだろうな」


恐ろしくて悲しい言葉を、奏ちゃんが口にした。

そうして、今度は愛おしむように私の頬に手を添える。


リクが触れることのなかった、私の頬を、ゆっくりと優しくなぞって。


「僕以外を好きにならないで」


そう、懇願した。