「どうして、謝るの?」
「……どうしてかな」
自虐的な笑みをもらしたリク。
私は直感的にそれが【不幸】に関わる事なのだと思った。
「……リク。リクがなんて思おうと、私は幸せだよ?」
静かに声にして伝えると、リクは困ったような笑みで私を見つめた。
私は、そのまま自分の気持ちを素直に伝える。
「病気の事は確かにショックだった。でも、その病気が当たり前の日常がこんなにも優しくて幸せに溢れたものだと気づかせてくれた」
リクがいて、奏ちゃんがいて。
家族がいて、友達がいて。
夏の日に感じる太陽の熱、吸い込まれそうな青く高い空。
その下で生き、笑えること、泣けること、怒れること。
「だからリク。もしも……もしもリクが私を不幸にしたとしても、それは私にとってただの不幸じゃないの。伝わる……かな? うまく言えなくてごめんね」
「……大丈夫。伝わってる」
ゆっくりと頷くと、リクは優しく目を細めた。



