「本当に?」

「うん。ほら、ただね、来週末の体育祭がちょっと憂鬱なだけ」


誤魔化しながらも、実はここ最近ずっと気にしていた悩みを引っ張り出せば、奏ちゃんはクスクスと笑う。


「小春は昔から運動苦手だもんな」


言い終えると今度はハハハと声にして笑う奏ちゃん。

「人ごとだと思って!」とむくれると、彼は目尻を下げて微笑んだ。


「大丈夫。うちのお菓子がきっと小春にパワーを授けてくれるさ」

「あ、今日ってやっぱりお菓子?」


確認し忘れていた事を思い出して声にすると、奏ちゃんは首を傾げる。


「あれ? 陸斗にちゃんと伝えておいたはずだけど……」

「そうなの? リクの予想でお菓子かもとしか聞いてなかったけど」


教室での会話を思い出しながら言えば。