それから──
休憩に入った私は制服に着替えてから梢ちゃんを体に無理のない範囲で案内し、帰る前に少し休憩しようという話になったので、中庭のベンチに二人で腰掛けていた。
中庭の噴水から流れる穏やかな水音が心地いい。
「はぁ~っ、満足満足。ケーキもすっごい美味しかった!」
喜んでくれる梢ちゃんに、私が笑みを浮かべると。
「ねえ、小春ちゃん」
梢ちゃんは満足そうな微笑みを残したまま唇を動かす。
「陸斗君、かっこいいね」
「え? うん、そうだね……昔からモテるし」
「だよね。女の子たちが好きな顔してるもん。私もうっかりドキドキしたし」
アハハと明るく笑う梢ちゃん。
「んでさ、もしや入院中に駆けつけたイケメンって陸斗君じゃない?」
触れた話題は以前、奏ちゃんだと勘違いされたものだった。



