「執事&メイド喫茶でご休憩はいかがですかー!」


文化祭初日。

賑わう校内を練り歩き、私は声を張り上げる。

手にはクラスメイトお手製の【執事&メイド喫茶】と書かれたプラカードとメニュー。

私はこのメニューを文化祭に訪れてるお客さんたちに見せて、気に入ってもらえたら教室まで案内するという役目を担っている。

「とっておきの笑顔で呼び込みよろしく」と新谷に頼まれているんだけど、呼び込みを始めてからかれこれ一時間弱。

さすがに笑顔もひきつってきている気がする。

それとは逆に、このメイド服で校内を歩き回るのがちょっと恥ずかしいのは、時間が経っても変わらないままだ。

早く交代の時間にならないかなと願いつつも、別の階に向かおうとした時だった。


「可愛いメイドさん、はっけ~ん」


他校の制服を着た男子生徒二人が私の前に立ち、顔をニヤつかせていた。