「あれ? リクだけなの?」
「他の奴らは教室の飾り付けに応援。それより、これこれ」
リクが指差すのは模造紙。
よく見れば、『フリーマーケット』と書かれた文字の上に白いペンキがべちゃーっと盛大にこぼれてしまっていた。
「わっ……これは……」
「あと少しだったのに、うっかりこぼしちゃってさ」
どう見ても失敗だ。
これを修正するには、結構な手間がかかりそう。
「これさ、火で炙ったり水に浸したりしたら文字が浮き出て元通り~とかない?」
どことなくワクワクしながらリクが聞いてくる。
「そんなわけないでしょ。これはもう一からやり直したほうがいいかもしれないね」
「げ……めんどくさいな~」
ちょっと楽しそうだった表情が一変して、煩わしそうなものになるリク。
「じゃあさ、過ぎたことは気にせず、未来をだけを見て進む案はどう?」
真面目な顔でそう提案され、未来だけを見て進むという前向きな言葉に一瞬惑わされかけたけど。



