「あ、そうだ。メイド服も届いてるから、小春ちゃんも試着しといてよ」
「はぁ~い……」
浮かべていた苦笑いに諦めの表情を添えて答えると、よっちんが溜め息を吐いて私に同情するような視線を送ってきた。
「小春も、新谷に振り回されて大変だね。きっぱり断れば良かったのに」
「確かにメイド服は恥ずかしいけど……みんな楽しそうだしね」
本当はメイド服を着るのは断ろうかと思ってた。
でも、新谷だけじゃなくクラスメイトにも勧められ、その時のみんなが醸し出していた雰囲気がとても楽しそうだったから……
結局私は、首を縦に振ったのだった。
「みんなで何かを作り上げていくのって、いいよね」
「そうね。明るい空気。きっといい文化祭になる」
「うん」
よっちんの予言めいた言葉に私は微笑んで頷く。
すると、よっちんの目がいたずらっ子のように細められて。
「メイド姿の小春を見たら喜ぶでしょうね」
そんな事を言い出した。



