──私は、目を覚ました。
ゆっくりと体を起こして、枕元の目覚まし時計を確認する。
アラーム設定時刻よりも30分も早い時間。
普段なら二度寝してしまうところだけど、今日はそんな気分になれなかった。
夢の中に出てきたリクの悲しそうな表情が、私の心を刺激しているからだ。
どうして、あの場所に出てきたのが少年じゃなくてリクなのか。
ただの夢だと言ってしまえばそれまでだけど……
もしかしたら、リクがひとりぼっちである事を望んでいるように見えるせいかもしれない。
カーテンの隙間から差し込む穏やかな朝陽。
私はベッドから抜け出すと、夢の中のリクの悲しそうな横顔を思い出しながら、カーテンを開けて部屋に朝の光を呼び込んだ。
