夢を見た。

いつもの桜の夢を。

はらりはらりと振り続ける桜の雨は美しく、儚く。

きっと今日もここに少年がいる……と、思ったのだけれど。

桜の木の下にいたのは少年ではなく……


高校の制服を着た今現在の


リクだった。


悲しそうに、桜の花びらが舞い散る様を眺めているリクの姿に、私の胸が切なく締め付けられる。

声をかけたくて。

けれど、まるで金縛りにあったように体も唇も動かせない。


リク。

リク。


心の中で呼ぶことしかできずにいると、ふいに視界が揺らだ。

夏の蜃気楼のようにユラユラと。

次いで、色彩がぼんやりと白に染まり始め……