「……なにかあったの?」
慈愛を帯びたようなよっちんの声に問われて、私は……
少しだけ、相談する事にした。
リクのとりまく環境は濁しつつ、けれど彼の過去が彼を苦しめている事と、それによって自ら孤独を選ぼうとしているように見える事を。
「本庄君は、怖いのね」
「怖い?」
「怖いから孤独を選ぶ。他者から離れていれば、傷つく事も傷つける事もないでしょう?」
よっちんの言葉に私は考える。
確かに、他者から離れていれば傷つける事はないと思う。
でも……
「もしも心が他者を求めてしまったら、その瞬間に自分は傷つくんじゃないの?」
誰かを傷つけるくらいなら……と、普段はそう思っていても、ふとした瞬間に誰かの存在を求める事があったら?
そうしたら、その時きっと、自分が孤独な事に心を痛める。
お母さんの死を自分のせいだと背負ってしまっている心優しいリクなら、なおさら。



