「お疲れ様です、奏ちゃん」
奏ちゃんは一昨日から始まった風紀強化週間の為、校門脇に立って生徒の身だしなみをチェックしている。
朝は別の生徒が立っていて、奏ちゃんは帰りの時間を担当しているようだ。
「ありがとう。小春は? 疲れてないかい?」
「大丈夫だよ。薬もちゃんと飲んでるし」
「そうか。ところで、陸斗を見た?」
「え? 見てないけど……」
奏ちゃんの口からリクの名前が出てちょっとドキッとしてしまう私。
リクがどうかしたかと問いかけると、奏ちゃんは困ったように溜め息をついてから唇を動かした。
「アイツ、一昨日からここを通ってないんだよ」
「あ……そういう事かぁ。裏門は?」
「通ってないって話だよ」
眉根を寄せた奏ちゃんに、私は力なくアハハと笑った。
どうやら、リクは風紀委員のチェックからうまく逃げて帰宅しているらしい。



