九月。厳しい残暑の中、二学期が始まった。

夏休みはあっという間に過ぎて、病状も今のところ安定していた私は、通院しながら学校生活を送っている。


「えー、そんじゃ今日は、文化祭の出し物を決めたいと思いまーす」


ロングホームルームの時間、教卓の前で学級委員の新谷(しんたに)が棒読み気味な声で宣言した。

新谷はうちのクラス1……というか、多分、学年1のチャラ男君だ。

趣味・特技はナンパと自分で豪語する程の女の子好き。

加えて、楽しい事が大好きで、面倒な事が嫌いだという。

そんな新谷が、委員の中でも面倒な部類である学級委員をどうしてやっているかというと……


「では、何かいい案がある人は挙手をお願いします」


新谷の隣りに立ち、切れ長のクールな目で私たちを見ながら、落ち着いた声で話すもう一人の学級委員、よっちんを落とす為らしい。