「今日は親父、帰りが遅いらしいから話すにはちょうど良かった」


私がクッションに腰を下ろすと、リクはそんな風に言いながら自嘲気味に笑った。


リクの部屋に入るのはいつぶりだろう。

確か中二の頃にお邪魔して以来……?

家具の位置はちょっと変わってるけど、家具そのものは見覚えのあるものばかりだ。

20インチくらいの液晶テレビに、シングルサイズのパイプベッド。

壁に設置されているクローゼットには、中学の頃と同じように、高校の制服がかかっている。

そんなに大きくはない四角いローテーブルには、音楽雑誌と……リクが用意してくれた、氷で冷やされたオレンジジュースの入ったグラスが二つ、並んでいた。

リクはベッドを背もたれにして座っている。

彼の後ろに見える窓はエアコンが効くまではと開けられていて、ぼんやりと、時折風で揺れる青いカーテンを見ていたら、リクの声が秘密を漏らした。