私が奏ちゃんと出会ったのは、リクがきっかけだった。 転入して、リクと友達になって半年程過ぎた頃── 広い原っぱの隅にある小さな古い掘っ立て小屋。 二人の秘密基地に、リクが知らない男の子を連れてきた。 秘密基地の入口に立つ黒いメガネをかけた、頭も育ちも良さそうな子を。 男の子は何故かおどおどしていて、私と目が合うと腕に抱えていた鞄をギュッと強く抱き締めた。