窓の外からかすかに聞こえる元気な蝉の声。

真夏の炎天下で聞いていたなら煩わしく思うその声も、クーラーの効いた室内で聞く分にはさして気にならない。

いや、むしろ今すぐこの状況から抜け出して、蝉の声を聞きに行きたいくらいだ。


夏休み終了まで、あと三日。

私は、リクと一緒に奏ちゃんの家に集合していた。

テーブルの上に広げられたノートとにらめっこしていた私は、ついにこの重圧に耐え切れなくなり、大きく息を吸い込むと声にする。


「数式なんて絶滅しちゃえばいいんだっ!」


そうして、ノートの上に突っ伏した。