彼が狙うのは、中でも一番難易度の高いものだ。

精神を研ぎ澄ませ、銃を構える姿はまるで闇夜に紛れる凄腕のスナイパー。

彼の目に映るのは獲物だけ。

銃にこめられた弾は、一発のみ。

外せば全てが終わる。

──ゴクリ。

私はつばを飲み込んで、やがて訪れるであろう一瞬を待っていた。


もしも仕留められなかったら。


そんな不安が過ぎった。

けれど……彼なら、きっと──


祈るように両手を合わせた刹那。


彼の指が、引き金を引いた。

銃口から勢い良く飛び出した銃弾が獲物の腹部を直撃して。

グラリ……

その体が揺れると……


崩れ落ちるように、赤いシーツの上に横たわった。