桜涙 ~キミとの約束~



「……奏ちゃんと、付き合えってこと?」


私の問いかけにリクは答えない。

聞こえるのは、風でそよぐ草のささやき声だけ。

──やがて。


「あー…」


呻くような声を出し、リクは顔を手にあて大きな溜め息をついた。

リクの髪が真夏の太陽に照らされ、通り過ぎる風にゆれる。


「ホント、オレって弱い。あれこれ言うくせに、結局……手離したくないんだ」


困惑したように微笑したリク。

リクが何の事を話しているのかわからない私。


「えっと……よく、わからないんだけど……」


正直に伝えるとリクは苦笑いして。


「うん、オレもなんかもう、よくわかんないや」


そう言うと、気持ちを切り替えるように頭上に広がる空を仰ぐと、思い出したように私を見る。