「あ──」
飛んでいっちゃう。
一瞬焦ったけど、帽子は飛んでいくことなく、リクの手で受け止められていた。
「はい」
リクは私の頭に帽子を被せると、ポンッと軽く叩く。
「ありがと」
お礼を言うと、リクは「どういたしまして」と言ったあとに「言ってないから知らなかったと思うけど」続けた。
そして、頬を緩め……
「オレが強くなりたかったのは……小春を守る為なんだ」
優しいトーンで、とても嬉しい事を教えてくれた。
嬉しい、けど、なんだかちょっと恥ずかしい。
「し、知らなかったよ」
「だから言ってないし」
「でも……どうして?」
私、リクに守ってもらわないといけないような問題でも起こしてたかな?
イジメられたりはしてなかったと思うけど……
知らないとこで、何かあったとか?
予想した事をそのまま告げると、リクはかぶりを振った。



