桜涙 ~キミとの約束~



どうしてリクがそう思うのかはわからない。

お母さんが亡くなった事が原因?

それなら、リクは関係ない。

だって、病気だったのだから。

私のことだってそうだ。


私は首を横に振って、否定した。


「違う、そんな事ない。お願いだからそんな悲しこと言わないで」


どこまでリクの心に届くかはわからないけど、できる限り私の正直な想いを声にする。


「リクは私を不幸になんかしてないよ。そんな風に思った事もない。病気は、私の体の事情でしょ?」


だから自分を責めないで。

そんな気持ちを込めて伝えると、リクは弱々しく苦笑する。


「そうだといいな」

「そうなの。それに、こんなに長く一緒にいたんだから、リクが私を不幸にするならもっと昔になってるはずだよ。でも見て。病気だって良くなってる。これのどこが不幸なの?」


ぴょんと元気さをアピールして跳ねて見せると、リクはクスリと小さく笑った。

刹那、少し強い風が通り抜けて、私の被っていた帽子がふわりと頭から外れてしまう。