桜涙 ~キミとの約束~



「ねえリク。中って前と変わってないのかな?」

「少し変わってる。多分、どっかの子供が俺らみたいに秘密基地にしてんのかもな」

「そうなんだ。だとしたら、その子たちは後輩だね」


笑って言うと、リクも笑いながら「そうだな」と頷いた。

でも、その笑顔がふいに寂しそうなもの変わって。


「もしかしたら、小春が病気になったのは……」


表情と同じ、寂しそうな声で続けた言葉は……


「オレが傍にいるせいかもしれない」


自分を悪者にするようなものだった。


「どう、して?」


なぜリクがそんな事を言うのかわからなくて問いかける。

するとリクは、さらに顔を曇らせて言った。


「オレは、大切な人を不幸にしちゃうんだ」


大切な人を不幸にする。

そのフレーズに、入院する前にリクが言っていた言葉を思い出した。


『幸せになる資格がない』


私が倒れる前に、リクが言った言葉。