私は思わず笑みを零し、リクを見上げながら答える。
「安定してるから、自宅療養になったの」
「つまり、退院?」
「うん」
「そっか。おめでと、小春」
ニッコリと笑うリク。
ずっと会いたかったリクが、見たいと思っていた笑顔がすぐそこにある事に嬉しさが溢れた。
「ありがとう。それから……ごめんね」
「なんで小春が謝るの?」
「だって、私ってば自分の事ばっかりで、リクのお母さんの命日を忘れてたの」
毎年、おうちにお邪魔してお線香をあげていたのに。
「いいよ。小春は頑張って病気と闘ってたんだ。お袋も気にしないって」
そう言って微笑むと、リクは滑るように屋根の上からひょいと飛び降りて土の上に着地した。
手にしているアイスはもう殻になっている。
私は秘密基地に視線をやった。
小学生の頃は大きく感じたこの小屋も、こうして成長してから見ると、少し小さく見える。



