「でも、お父さんとは仲がいいでしょ?」
「そうかな? でも、父さんも、母さんの味方だから」
父としては接してくれるけど、愛情を感じたのはほんの僅かだと奏ちゃんは語った。
「ごめん、こんな暗い話」
弱ったように笑んだ奏ちゃん。
私は頭を横に振った。
奏ちゃんにとっては暗いだけの話じゃない。
それを明かしてくれたのは素直に嬉しかった。
同時に、色々な事がつながった。
どうしてお母さんが冷たいのか。
なぜ、ひとりぼっちだと言っていたのか。
そして、夢の中の少年が悲しんでいた姿と言葉。
それがわかって、私は少しスッキリしていた。
まだわからないのは、夢の中の少年の姿が幼い事とリクを意識している事だけど……
奏ちゃんの話を聞いた今は、姿に関しては、夢だからかもしれないとも思える。
リクの事はまたいつか話してもらえればとも思い、今は聞かないようにした。



