桜涙 ~キミとの約束~



出会ったのが、リクよりも奏ちゃんの方が早かったら?

奏ちゃんと出会ったのは、リクよりも後。

それは確かだ。

でも、よくよく思い出して見れば、夢の中の少年は初めて奏ちゃんに会った時よりも姿が幼い。


「……奏ちゃんと私が出会ったのはいつ?」


言葉は自然と口に出ていた。


「いつって……」

「ひとりぼっちだって泣いていたのは、ずっと一緒だって約束したのはいつ?」


尋ねてから、ふと思い出した。

夢の中で、少年が言っていた言葉を。


「……奏ちゃんには、お母さんがいるよね?」

「いるけど……いきなりなんだい?」

「夢の中の男の子は、お母さんがいなくなっちゃったって言ってたの」


生じた矛盾を口にすると、奏ちゃんは一瞬大きく目を見開いて。

それから……


「いなく、なってるよ」


そう、零した。