桜涙 ~キミとの約束~



少し冷たいような視線が、私を捉える。


「……もしかして、陸斗が来たのかい?」


誤魔化す必要はない。

だけど……リクの声が聴きたくなって電話したなんて言えなくて。


「心配して、お見舞いに来てくれたの」


嘘ではないけれど、言いにくい部分を省いて伝えた。

すると奏ちゃんは、「そうか」と零し、少しの間考えるように足元を見つめて……

ふと、落とした視線を上げ、再び私に向ける。

視線の色はまだ冷たいままに、唇を動かした。


「それは、小春の検査結果が出た日?」


言い当てられて、私の心臓がトクンと跳ねた。

奏ちゃんの瞳は真っ直ぐに私に向けられていて、何かを確信しているようで……

嘘をつけず、私はコクりと首を縦に振った。