「ぼく、ひとりぼっちになっちゃった」

「ひとりじゃないよ」

「ひとりだよ」

「こはるがいる。そしたら、ひとりじゃないでしょ?」


黙った少年に小さな私は幼い声で言葉を少年へと届ける。


「ずっとずっと、いっしょにいるよ」

「ずっと、いっしょ?」

「うん、やくそく!」


私が笑顔で答えると、決まったように私の意識が桜吹雪においやられるように現実の世界へと向かわされて……


瞼を、開く。


「また……昔の夢……」


気付けば朝。

けれど、まだ外は薄暗い。

時計を確認すれば、もうすぐ六時になるところだ。