「ねー、知ってる?」


梢ちゃんはノートを閉じると疑問形で話しかけてきた。


「昨日さ、すんごいイケメンがお見舞いに来てたらしいよ」


……えっと……もしかして?


「しかも病院内を走ってたらしくて、結構目立ってたみたい」


これは、やっぱり……


「あたしも見たかったなー、そのイケメン。って事で、今度またきたら是非拝ませてね」


リクで確定。

しかも、梢ちゃんはリクが私のお見舞いに来たのまで知ってる。

多分、面会の受付をした看護士さんから聞いたんだろうなぁ。


「それで、そのイケメン君が走っちゃうほどの何かがあったのかね?」


梢ちゃんは鼻の下で存在しない長い髭を撫でる振りをしながら訪ねてきた。


「あった……かな」


苦笑いとともに答えると、梢ちゃんも同じように苦笑いする。