桜涙 ~キミとの約束~



「あー…つっかれたー…」


ハァハァと息を吐きながら、リクは膝に手をついて苦笑いをひとつ浮かべる。


「走って来たの?」

「うん、そう。すぐ行くって、言ったじゃん?」


途中、看護士さんに怒られちゃったけどねと笑ったリク。

きっとリクは「すいませーん」なんて言いながらも、走ってここまで来たんだろう。

簡単に想像できた私は、クスッと笑ってしまう。

すると、リクはパイプ椅子に腰掛けて、ベッドに座る私を見た。


「それで……どんな病気だったの?」

「特発性拡張型心筋症、だって」

「とくは……?」

「とくはつせい、かくちょうがた、しんきんしょう」


リクにわかるように区切って言ってみたものの、やっぱりわからないらしく彼は首を横に傾げた。


「それって、どんな病気なの?」

「私もまだ正確にはわかってないんだけど、先生から受けた説明だとね……」


私は、先生の言葉を頭で整理しながらリクに説明する。