桜涙 ~キミとの約束~



『検査結果……出たんだ?』

「うん……」


頷けば、二人の間にに訪れた沈黙。

受話器の向こうから少しだけ聞こえるのは、リクの好きなアーティストの歌だ。

多分リクは家の自室にいるのだろう。

ふと、歌声にかぶさるように、リクが声を出した。


『……待ってて』

「……え?」

『すぐ行くから』


告げたかと思えば、プツリと通話が切られてしまう。

そして30分後──


「小春っ……はぁ…は、……お待たせ」


息を切らせたリクが、病室に現れた。