桜涙 ~キミとの約束~



『……声、震えてる。ホントどうした?』


さっきまでのからかうような雰囲気は消えて、リクの声が真剣なものに変わる。

本当に心配してくれているのがわかるから、私は寄りかかるように声を零してしまった。


「どうしよう……」


どうしたらいいの?

どうやって、この現実を受け止めたらいいの?


『小春?』

「リク……私、怖い」

『怖いって……何が?』

「もしかしたら……私に、明日が来ないかもしれないことが、怖いの」


こうして、耳に届くリクの声が、明日にはもうきけなくなってしまうかもしれない事。

当たり前のように感じていた毎日が、突然なくなってしまうかもしれない事。

最初、先生から【死】という言葉を聞いた時には、それほどわからなかったその意味が……


今は、こんなにも怖いものになってる。