「……リク……急に、ごめんね」
『いいよ。それより、何かあったんだろ?』
優しい声で尋ねられて、私は、何も言わなくてもわかってくれるリクに嬉しさを感じながらも苦笑いを浮かべた。
「……リクにはすぐわかっちゃうね」
『そりゃあ、オレはずっと……』
受話器の向こうで、リクが一瞬黙って。
『……幼なじみだから』
笑みを含んだ声で、そう言った。
幼なじみだからわかってくれる。
以前なら、それだけで十分嬉しかったのに。
今は、少し寂しい。
『それで、どうした? 奏ちゃんと喧嘩でもした?』
からかうようなリクの声に、私は彼に見えずとも頭を振った。
「……違うよ」
違うよ、リク。
確かに奏ちゃんともちょっとあったけど……今は、そうじゃなくて。
ただ……
「リクの声が聞きたくなったの」



