桜涙 ~キミとの約束~



「佐倉さんの彼氏?」

「あ、えっと……」


戸惑う私をよそに、奏ちゃんが笑顔で答える。


「そう見えて安心しました」


奏ちゃんの言葉は曖昧なもの。

でも、何も知らない先生からすれば、ちゃんと彼氏に見えて良かったととれるんだろう。

お似合いだね、と先生は微笑んだ。

そして「少し、診察があるんだけど」と続ける。


「ああ、じゃあ僕は一度出ます。少ししたら戻るよ」

「うん……」


またね、と言い残して病室を出て行く奏ちゃん。