桜涙 ~キミとの約束~



「あの、守ってくれるかって聞かれて、もちろんって答えたけど、あれって別に深い意味はなくて……」

「…………」


無言で、私を見つめる奏ちゃん。

彼の表情には、薄い笑みがあるだけで。

少し臆病風に吹かれながらも、私はなんとか言葉を続ける。


「だからね、今まで通り──」

「今は、そんな話はしなくていいよ。今大事なのは、小春の体だろ?」


言いながら、奏ちゃんは笑みを濃くしていく。


「大丈夫。僕がしっかり支えるから。ずっと、一緒だ」


とてもとても綺麗な笑み。

けれど、どこか病的にも見えるそれに私は焦りを覚えた。


「ねえ奏ちゃんお願い、ちゃんと聞い──」


その時ふいに、私の声に交じるように響いたノックの音。