両親が病室に戻ってきたのは、もう日も暮れた頃だった。
お父さんは奏ちゃんとリクを送ってくるからと早々に出て行ってしまい、残ったお母さんはパイプ椅子に腰掛けると、先生から告げられた病名を教えてくれた。
「……心不全?」
私は、聞いたことはあるけど詳しくはわからない病名に首を傾げる。
「そう。その疑いがあるから、今日はこのまま入院して、明日になったら付属の循環器科のある病院に移って検査するように言われたの」
「そうなんだ……」
お母さんの説明によって、専門のところできちんと検査して確かめる事が必要なんだと理解した。
「心不全って、重い病気なの?」
「重症となると大変な病気よ」
得た答えに、私は返事も出来ずにただお母さんを見ていた。



