桜涙 ~キミとの約束~



「オレには、幸せになる資格はないから。だから、小春は奏チャンといる方が……きっと、いい」


言いながら、リクが私をゆっくりと解放する。

私を包んでいた体温は、もう感じない。

私は、息苦しさを覚えながらも、振り向かないまま問いかける。


「……何、言ってるの……? 幸せになる資格がないなんて……」


そんな事、誰が決めたの?

私は奏ちゃんといる方がいいなんて、どうしてそんな事言うの?


「……ごめん、忘れて」


また、話をなかったことにしようとするリク。

どうしていつも……


「いつもいつもっ、リクの中だけで自己完結しないで!」


リクは言葉を、しまいこんじゃうんだろう。

責めるように声にして振り向いた瞬間──


「……小春?」