桜涙 ~キミとの約束~



「おい、本庄。あんまりチョーシこいてんじゃねーぞ」


吐き捨てるように言うと、彼らはそれ以上危害も加えずにこの場から立ち去ってくれた。

途端、緊張の糸が切れて。

──ヘタリ。

地面に座り込んでしまった……次の瞬間。

背中に感じる重みと、体を包み込まれる感覚。

背中から回っているのは……


「ふざけんな……」


リクの、腕だった。


「何、してんだよ」


耳元で零れるリクの声は、少し震えてる。


「それは、こっちの……セリフだよ」


心臓の動きが早い。

走ったせいなのか、リクのせいなのか、わからない。

わかるのは、私を包み込むリクの体温の温かさだけ。