桜涙 ~キミとの約束~



商店街に入った頃には、私の息はあがっていた。

最近疲れやすくなっていたけど、それをまた感じて私は胸を手で押さえる。

胸を圧迫されるような感覚。

少し呼吸が苦しい気がするのは、走ってるせいだろうか?

けど、今はそんな事にかまってられない。

早く、リクのところに行かなくちゃ。


よっちんに教えてもらったカラオケに到着すると、すぐ横に伸びている裏路地への細い道へと進む。

この辺りにいるはずだと辺りを見回せば、リクの姿はすぐに見つかった。

カラオケの裏、駐車場の奥に続く少し広めのスペースで、リクは一人、他校の男子生徒のパンチを避けたところだった。

相手は三人。

状況は三対一。


リクに仲間がいないって……どういう事?

助っ人の喧嘩じゃないの?


考えた刹那、リクは背後からケリを入れられて前につんのめり膝をつく。

ケリを入れた男子生徒の手には、鉄パイプのような固く長い何か。