桜涙 ~キミとの約束~



『私、塾があるからもう行かないとならないけど、止めた方がいいなら声かけとくよ』


何でもない事のように言うよっちんに私は焦る。


「そんな事したら危ないから! 私が行く」

『それも危ないと思うけど。まあ、本庄君なら守ってくれるだろうけど、気をつけてね小春』

「うん、教えてくれてありがとう」


通話を切ると、私は奏ちゃんを見た。

本当なら奏ちゃんと二人で駆けつけるのがいいんだろう。

でも、奏ちゃんはこの前、リクの事で弱音みたいなものを吐いていた。

だったらとりあえずは私一人で行くのが無難だろう。


奏ちゃんは瞬きをしながら少しだけ眉を寄せて私を見ていて。


「奏ちゃんごめん。これ、食べて」

「──え」


私は手に持っていたクレープを半ば無理矢理奏ちゃんに渡す。