桜涙 ~キミとの約束~



食べかけのクレープを持つ手に少しだけ力が入る。

せめて、嫌いだと言った事だけは謝っておこうかな……

そんな風に後悔していたら。


「でも、大丈夫だよ。陸斗と喧嘩したって小春には僕がいる」


優しい声で、励まされる。


「奏ちゃん……でも私……」


リクと喧嘩したままでいるのが、いいとは思えなくて。

何より、リクが荒れて喧嘩ばかりしているなんてやっぱり心配だから……


「あのね、奏ちゃ──」


奏ちゃんに相談しようと思った、のに。


「小春の運命は僕だ。他のやつを見る必要も気にする必要もない。そうだろ?」


奏ちゃんはニッコリと笑ってそう言うと、チョコバナナクレープを口に含んだ。